旅の思い出を、ビールとともに。
旅先で飲むビールは格別である。それが一人旅であればなおさら。旅の思い出は、ビールとともに。
出発前の高揚感と「羽田スカイエール」
旅の最初に飲んだビールは、羽田空港限定の「羽田スカイエール」。羽田空港第1ビルの屋上展望デッキの売店で樽生が飲めるのです。天気も良く、風もほどよい強さで外でビールを飲むのが気持ちいい気候。これは「飲む」以外の選択肢が見当たらない。
名前の通り、エールタイプで香りのよいビールだが、ホップの苦味やボディ感は軽めに仕上がっており、ペールエールよりはいわゆるライトエールの類のよう。軽快な飲み口の中に程よい苦味とフルーティな香りが楽しめる。出発前の景気づけにもってこいの1杯。
これからはじまる函館旅行を祝しつつも平日の日の高い時間帯にビールを飲むことへの背徳感をちょっぴり感じながら飲むビールの美味さたるや。背徳感と引き換えに得た旅への高揚感はなにものにも代えがたいものだった。
10年ぶりのサッポロクラシック樽生と衝撃の再会
函館上陸後、最初に飲むべきビールはやはりこれしかない。「北海道ONLY」サッポロクラシックの樽生である。
サッポロクラシックの缶であれば近所のスーパーで定期的に開催される北海道フェアで手にすることができるし、買おうと思えば楽天などのネットショッピングで取り寄せることができる。北海道ONLYのビールもだいぶ身近になったけど、樽生だけは北海道でなければ飲めない、はず。
最後にサッポロクラシックの樽生を飲んだのはたしか10年前。奥さんとはじめて旅行にいった札幌で、ジンギスカン屋で飲んだサッポロクラシックの樽生の記憶はもううっすらとしか残っていなかった。
サッポロクラシック樽生と10年ぶりの再会。飲み口に向けて緩やかなカーブを描くグラス、7:3の完璧な比率で注がれたビール。まずは見た目の美しさに思わず写真を撮らずにはいられない。そう、それはビール好きのカメラ好きにとっては必然なのである。
そしていよいよ一口飲んで、その美味しさに思わず笑ってしまった。店員さんに怪訝そうな目で見られたかもしれないが、笑みがこぼれるくらいの美味しさなので仕方ない。
クリーミーな泡でフタをされた、美しいゴールドのサッポロクラシック。さわやかなホップの香りと優しい苦味、そして麦芽からくる旨味とほんのりとした甘みが口に広がる。そして喉を通れば脳がもう一口と訴えかけてくる後味。飲むのを止められない、止まらない美味しさ。
10年前に飲んだサッポロクラシック樽生の記憶は函館で鮮烈に上書きされた。「サッポロクラシックの樽生はヤバイ」と。
お金と肝臓に余裕があれば、何杯でも飲みたいサッポロクラシックの樽生であった。
結局、函館初日に飲んだビールはサッポロクラシック1杯だけ。夜景撮影を終えて立ち寄ったバーで、常連らしき男性がサッポロクラシックの中瓶を飲んでいたのがめちゃめちゃ美味しそうに見えた。
海鮮の味を引き立てる「助演賞」スーパードライ
二日目に出会ったビールはアサヒスーパードライ。いまだ日本でのシェアナンバーワンを誇る、キレ味鋭いライトラガー。
6月に解禁された真イカの刺し身に定評のある居酒屋を見つけて開店と同時に入店。この日のサーブ第一号は私のオーダーしたスーパードライの中ジョッキだったはず。
よく冷えたジョッキにサーブされた、これまたキンキンに冷えたスーパードライ。極上のコンディションでサーブされたスーパードライのキレは日本刀のごとし。よく晴れた函館の街をカメラ抱えてさんざん歩き回った私の身体をつらぬいていくかのような刺激が心地よい。この日のスーパードライは「牙突」のようであった。
そんなキレ味鋭いスーパードライの風味は、函館が誇る海産物の味を引き立てる。新鮮なイカの甘味、ゴロのコク、脂の乗ったホッケの旨味やイワシの刺身の風味を立ててくれる。この日の助演俳優賞はスーパードライに決まった。
この日も夜景を撮りに函館の街を歩くことにしていたのでビールは泣く泣く2杯でおしまい。それにしても飲みやすいスーパードライだった。
写真を撮り終わってもう1杯飲みに行こうかなと考えていたのだが、朝7時から歩き回ったせいか歩数計を見ると3万歩に達していた。思いの外足に来ていたので、外で飲むのは断念してホテルの部屋で飲み直すことにした。
北海道のコンビニには当たり前のようにサッポロクラシックが並んでいる。通常版だけでなく、夏限定のサッポロクラシック「夏の爽快」も売っていた。また、北海道らしくコンビニのホットスナックには「ザンギ棒」がラインナップされていたので、サッポロクラシックの缶とザンギ棒でちょっとした北海道気分の部屋飲みで2日目を締めたのだった。
名残惜しさを受け止めてくれる、函館空港のサッポロクラシック
いよいよ3日目。五稜郭タワーに行ったりハセガワストアのやきとり弁当を食べたりと、函館でやり残したことを回収しながら函館空港へ。
おみやげを買い込んで、フライトまではまだ時間がある。函館旅行の名残惜しさがあるが、そんな気持ちを受け止めてくれたのは函館空港内のレストラン・ポルックスであった。函館旅行の最後に飲める、サッポロクラシックの樽生。
どっしりとしたフォルムの中ジョッキに注がれたサッポロクラシック。泡とビールの比率とか、細かいことはこの際どうでもいい。ただただサッポロクラシックの樽生の美味しさを噛み締めて。熱々のザンギとの相性も抜群だった。
真のラストはフライト直前に
東京に帰る飛行機は悪天候のため到着が遅れており、函館を出発する時間が少し延びてしまった。保安検査場を通過したが、もう少し時間を潰しておかないといけないらしい。
そんな中に目に入ったのは登場待合室内の軽食スペースのメニューだった。なんとここでもサッポロクラシックの樽生が飲めるとは。
まさにフライトの直前まで飲めるサッポロクラシック樽生。グラスだろうとジョッキだろうとプラカップだろと問答無用で美味かった。
函館旅行最後のビールは、奇しくも出発のときと同じく空港で飲むビールとなった。ビールで始まり、ビールで締める。いい旅行だった。
ビールは旅のチェックポイント
今回の旅をビール起点で振り返ってみたが、ビールを飲む前後の記憶や出来事も紐付いて記憶していて、いい旅行の振り返りになった気がする。
朝から何杯も飲めるほど自分はお酒が強くないので、お酒を飲むタイミングはある程度考えてはいるのだが、ビールを飲むタイミングは「チェックポイントに到達」みたいな感じだと思った。ビールを飲むときにそのときの出来事を振り返ったり次の行程を確認したりして、旅行のチェックポイントだったのかなと。
また機会があれば一人旅に行きたいし、そのときはまたビールをもとに旅の記憶をたどってみたいと思う。