岐阜・美濃市の「うだつの上がる町並み」に行ってきました
岐阜県美濃市にある「うだつの上がる町並み」に行ってきました。江戸時代に建てられた家屋が残る、歴史ある町並みだと聞いていて、これはぜひ一度行かねば。ということで、年末に奥さんの実家に帰った際に1日時間をもらって美濃市へと出かけた次第です。
美濃市は岐阜県の中央部にあり、 名古屋の中心部からは電車でおよそ1時間半。JRの美濃太田駅から長良川鉄道に乗り込んで、美濃市駅へと到着します。
長良川鉄道の美濃市駅の駅舎は大正時代に建てられたもので国の有形文化財に指定されています。駅舎からすでに歴史を感じさせてくれます。
美濃市駅からうだつの上がる町並みまでは歩いておよそ10分ほど。駅ではレンタサイクルも借りられるのですが、自転車だと写真が撮りづらいかな?ということで、歩いてうだつの上がる町並みへと向かうことにしました。
駅からうだつの上がる町並みへと向かう途中には、昔の名鉄の駅が残されていました。こちらも大正時代の駅をそのまま保存しているそうです。もともとは岐阜の柳ヶ瀬から美濃市まで名鉄の路面電車が走っていたんですね。
駅から10分ほど歩いて、うだつの上がる町並みへと到着しました。うだつの上がる町並みは東西2筋、南北4筋の長短の街路・路地でできた町で、いわゆる漢字の「目」の形をしています。一周およそ1キロの区画でコンパクトな町並みですが、江戸時代に金森長近が築いた町が今に続いている、 趣ある場所です。
そもそも「うだつ」とはなんでしたっけ、という話になりますが、うだつとは隣の家との間に建てられた、火事の延焼を防ぐための防火壁のことをいいます。もともとは防火壁としての役割で作られていたものの、江戸から明治にかけて装飾的な意味合いが強くなってきたともいわれています。
うだつを上げるには立派な家屋・店を構えなければ建てられず、そのためにはある程度裕福でなければなりません。そのため、いわゆる「うだつが上がらない」の語源になったとか。
うだつの上がる町並みのすぐ北には、かつて金森長近の居城だった小倉山城跡があります。山というよりは小高い丘、というところで、現在では小倉公園として整備され、桜の名所となっています。
城跡とは言うものの、天守閣などが現存しているわけではなく、頂上にお城をモチーフにした展望台が設置されています。
小倉山城跡から見る城下町。当時もこのような感じで町家が広がっていたのでしょうね。
すごく余談ですが、写真を現像してみて拡大したらヤブ蚊がいっぱい写っていました・・・眺めは良いですが、ヤブ蚊などの虫が苦手な方はちょっとご注意を。
お城の裏手、北側には長良川。長良川には大正時代に架けられた、現存する日本最古の吊り橋である美濃橋があるのですが、平成32年3月末まで修繕工事で通行止めになっていました。真っ赤な吊り橋、見てみたかったなぁ。
うだつの上がる町並みへと再び戻ってくると、木彫りの招き猫が設置されているのを見つけました。説明書きを読んでみると、玄武・青龍・白虎・朱雀をモチーフにした4体の招き猫がいるみたいですね。
青龍:東の守護「財運・出世運」
玄武:北の守護「健康運・無病息災」
白虎:西の守護「商売繁盛・金運上昇」
朱雀:南の守護「恋愛運・家庭円満」
金森長近公が小倉山城の城下町を築く際に「四神相応 」の思想を取り入れたことがモチーフになっているんですね。町並みの四隅にいらっしゃるので、見つけたらなでてあげるとご利益をさずかれるかもしれません。
金森長近公、なんだかとても親近感が沸いてきました。今度信長の野望をやるときは重用しよう。
明治時代の家屋でそばを味わう
うだつの上がる町並みをぐるぐると歩いて、そろそろお昼の時間帯。いくつか飲食店はありましたが、せっかくなら歴史ある家屋に入って食事してみたいな、ということでおそばの「まる伍」さんへ。明治初期に建てられた家屋です。
お店にするにあたってリフォームなどはされているのでしょうが、柱や床などに使われている木々や板には歴史が刻まれているようです。
和室の席でほっと一息。寒い日だったのであたたかいお茶が美味しい。
十割そばのかけそばと野菜のてんぷらを注文。そばは十割そばらしく風味豊かで、ぶつぶつっと切れやすい食感。おだしも優しい味で、午前中歩き回った身体に染み渡る感じ。
野菜のてんぷらがまた絶品。野菜の甘さを邪魔しないさくさくな衣。てんぷらと分けてだしていただけるのがいいですね。おそばもてんぷらも美味。お店を出るときに「よいお年を」と声をかけてくださったのがなんだかうれしかったなぁ。また次回うだつの上がる町並みにいったときも寄りたくなるお店でした。
美濃といえば美濃和紙。こちらの「紙遊-see you-」さんはもともと和紙の倉庫だった場所をお店としています。和紙や和紙製品のセレクトショップで、美濃和紙を身近に感じられる品が並んでいたのが印象的。奥さんに付箋やぽち袋をおみやげに買いました。美濃市らしいおみやげが買えるお店かな。
こちらは江戸時代から続く酒蔵「小坂酒造場」さん。建物もうだつも荘厳で立派。この日は新酒しぼりたての蔵出し原酒を販売する日だったようで、お店の奥の蔵には行列ができていました。買って帰ってお義父さんのおみやげにすれば・・・と思ったものの一人電車旅で一升瓶持ち歩くのがちょっと厳しくて断念。
歴史ある通りの中に若いお店も増えているよう
歴史ある家屋が並ぶ「うだつの上がる町並み」ですが 、古い老舗だけでなく最近オープンしたお店や若い人向けな感じのお店もちらほら見受けられました。こちらの「DONI DONI」さんは岐阜市から移転してうだつの上がる町並みにオープンしたイタリアンレストラン。この日のランチは貸切営業で、地元の方の集まりだったのかな?すごく流行っている印象を受けました。
見るからに歴史がありそうな看板を掲げたこちらのお店、実は洋菓子屋さん。もともと八百屋として使われていたものを引き継いで使っているとか。
まる伍さんの裏手にあったのは木の家具を取り扱う「AC CRAFT」さん。この日はお休みでしたが、営業終了のお知らせの前にまつぼっくりが飾ってあってちょっとほっこり。
歴史のある古い町並みで、昔ながらの老舗が多いところなのかな、と思っていたのですが、若い息吹が感じられるお店がそこかしこにあって、うだつの上がる町並みが今なお成長して歴史を重ねていっている感じをうけました。活気があるっていいですね。
町並みを何周もしていると 、いろいろなものにカメラを向けたくなりますが、やはりうだつはカッコいい!家ごとにデザインが違うので、見比べてみるといろいろ発見があります。
うさぎのレリーフがついているのはうだつの漢字を「兎建」と書くことにひっかけているのかな?
先に挙げた酒蔵「小坂酒造場」は、屋根が丸くアーチを描いていて、うだちもこの通り美しいラインで建てられています。カッコいい。
歴史の中に生きる、うだつの上がる町並み
美濃市の「うだつの上がる町並み」は古い家屋の並ぶ町並みですが、「生きている」感じを受ける町でした。にぎやかで繁盛している、という感じではなく、その町に人が生活していることが見て取れる感じ。そういう意味で活気のある町だな、という印象を受けました。
老舗のお店が昔どおり営業していることに加えて、若い人が新たにお店を出したりして町がいまだに成長しているというのもいいですよね。一度訪問してすっかりこの町並みが好きになってしまいました。