岐阜・飛騨金山の街を歩く
「飛騨金山には訪ねてみたい場所がある」
夏休み、名古屋へ帰省しておりました。帰省したタイミングで「どこかに写真を撮りにでかけたいな」とGoogleマップで探していたところ、岐阜県は下呂温泉の手前にある「飛騨金山」という街に目がとまりました。
調べてみると、古くは飛騨と美濃の境目にあたる宿場町で、今も古い街並みが残っていて「昭和の懐かしい風景が残る街」と紹介されていました。これは行くしかないだろう、ということで、いざ、飛騨金山へ!
名古屋駅から特急「ワイドビューひだ」に乗り込んで飛騨金山へと向かいます。そういえば「ワイドビューひだ」は2022年7月1日から新型車両が導入されたそうですね。噂のハイブリッド車両、乗りたかったのですが今回は残念ながら従来の車両でした。これは早くもリベンジ案件。
名古屋から岐阜を経て木曽川、飛騨川沿いを走って約90分、飛騨金山駅へ到着しました。レトロな跨線橋、自然が近い環境、下車したとたんに感じる懐かしい雰囲気。
駅舎の後ろに見える山、雲。海抜220メートルくらいですが、空が近く感じますね。
駅を出て、飛騨川と馬瀬川が合流するポイントにかかる金山橋を渡ると、飛騨金山の中心街に出ます。
川がめっちゃキレイ。
中心街をぷらぷら。平日に来たこともあるせいか、かなり静かな街並み。
散策ルートを決めるのと腹ごしらえを兼ねて「ドライブイン飛山」さんへ入ることにしました。名古屋と飛騨高山、富山を結ぶ国道41号線沿いにあるドライブイン型のレストランです。
なんというか、私が小学校・中学校(昭和末期から平成初期くらい?)の頃の林間学校で訪れた的な雰囲気がすごい。なぜだか懐かしい。
注文したのは飛騨金山の観光スポットを冠した「筋骨ランチ」。奥美濃・南飛騨エリアの郷土料理「鶏ちゃん」が楽しめる、ここならではのメニュー!
しょうゆや味噌、にんにくなどをベースにしたタレに漬け込んだ鶏肉を野菜と一緒に焼いて食べるのが鶏ちゃん。固形燃料で焼けるのを待つのがまた懐かしい。
鶏ちゃんが焼けるまでの間にと、汁かわりに山菜うどんを配置したメニューの妙・・・汗もかいたし程よい塩気がおいしい!
山菜うどんを食べ終えるころには鶏ちゃんもいい具合に焼けていました。鶏ちゃん、めっちゃうまかった・・・!鶏肉の食感がシャキシャキしてて、かむたびに旨味がしみ出てくる・・・白いご飯が足りない!すっかり完食して、これからの散策のエネルギー補給はバッチリ。
ドライブイン飛山で飛騨金山の観光マップを入手したので、ここからスタートです。観光マップは飛騨金山駅にも設置されているようですが、すっかりスルーしてしまった...
もともとは飛騨街道の宿場町だった飛騨金山。当時の雰囲気を残した建物も残っていて、街歩き好きとしてはたまらないエリアです。地図を頼りに、散策してみますか。
昭和の香りを色濃く残す「銭湯跡」
飛騨金山の散策で、ぜひ立ち寄りたかったのがこちらの「銭湯跡」。昭和末期まで実際に使われた銭湯を見学できるように残してある建物です。
男湯の引き戸をガラガラと開けると・・・
昭和の時代にタイムスリップ。
番台。
下駄箱は木製。うちの近所の銭湯はもうコインロッカーみたいなやつだったな。
昭和59年に改訂された料金では、大人は100円。安い。隣には、この銭湯の最後の営業日に撮った写真が飾られていました。
浴場へ。天井に窓があって思った以上に明るい室内。湯船の中にタオルを入れてはいけません。
「本業タイル」が敷き詰められている浴槽。大人が数人入ればいっぱいいっぱいになりそうなサイズですが、この街のちょうどいいサイズだったんだろうな、なんて想像してみたり。
昭和63年まで営業されていたそうなので、1988年のカレンダーはまさにその当時のものですね。萬田 久子さんがまだ30歳か・・・!
風呂上がりの牛乳を飲み干して、という絵が想像できる空き瓶。
昭和の時を写した鏡に、昭和生まれの私を写して。
古い建物がそのまま残されていることの素晴らしさ。残してくださるために尽力されている方に本当に感謝ですね。
8月ということで、建物に潜んでいた蚊がときおり「プーン」と耳元を飛んでくる障害を除けば、大満足。蚊めぇ・・・
銭湯跡を出て、次の目的地へ向かいます。
通りのお店やお宅の軒先に風鈴がつるしてあって、涼やかな音と通り抜ける風が一瞬の涼を感じさせてくれました。風鈴と一緒につるしてあるお願いごとがとても健気。本当に早くコロナ禍が終わってほしいものです。
ところどころに井戸水を汲み上げるポンプが残っていました。ポンプを動かして、出てくる井戸水がほどよく冷たくてホッとします。
飛騨金山の「筋骨」を堪能する
飛騨金山の名所のひとつが「筋骨」と呼ばれる路地。飛騨地方の呼び方で、細い路地が筋や骨のように複雑に絡み合う様子を例えたものだとか。
メインストリートから路地を一本入り、階段を下りればそこは魅惑の筋骨。街中に突然現れる立体交差。
飛騨金山の街を流れる清水。川の水がきれい
住居の下をくぐりぬける、細い細い路地を進みます。ここは公道なので通行自由とありますが、なかなかにドキドキする細い道。
開けたところに出たと思ったら、これぞ昭和のトタン家屋。
表通りの街道から見ると2階建てなのですが、裏通りの筋骨で見ると3階建ての建物に。通りの段差を活かして、低層階が作られているんですね。
「飛騨金山版・ハウルの動く城」とも呼ばれるらしい、筋骨を代表する建築物。下の階を大きくはみ出して増築された、上層階の迫力よ・・・これはなかなか普段お目にかかれない建物。
陳腐な例えかもしれないけど、映画やゲームの世界に入ったような錯覚。「ここ入っていいの?」という細い路地を進んでいくと、新たな世界が開ける感覚。
筋骨を出て、もう少し飛騨街道沿いを歩いてみることに。
創業300年を誇る「奥飛騨酒造」さん。飛騨産のお米、そして地元を流れる飛騨川の伏流水で醸造した地酒を取り扱っています。ほかにもお米を原料としたウォッカを醸造されていたりするのが驚き。キリっと辛口な「奥飛騨 特別純米」をお土産に買って帰りましたが、キレのある味でおいしかったです。
通販も取り扱い中。そのせいか、PayPayなどコード決済も多種使えて便利でした。
昭和の名残がある案内板。飛騨金山には至るところに昭和の雰囲気がありました。
だいぶ焼けてしまったサッポロビールのロゴ。いつのロゴなんだろう・・・
「MORE THAN A CENTURY WITH THE POLARIS EMBLEM」というワードは2004年に商標登録されていることが確認できたけど、ワード自体は昔から使われていたのか、はたまた(どうでもいいことが気になってしまう)
もはや歴史の教科書に出てくるのでは、と思われる「ナショナル 松下電工」の看板。山吹色があざやか。
川のほとりに降りることができたので、ちょっと水辺まで。水がキレイ。
流れは結構速そうで、川遊びはちょっと危ないかな。
帰りも「ワイドビューひだ」で名古屋に帰ります。午前11時過ぎに飛騨金山に到着して、14時40分の電車で名古屋へ。滞在時間3時間30分でしたが、ちょうどいい時間配分でかなり満足できました。
飛騨金山、確かに「昭和」が残る街でした。古いものがそのまま残る街。ただ、いつまでそのままの姿であるかもわからない。そう感じる街でした。その姿が残っているうちに、もう一度訪れたい街ですね。次は別の季節に。