江戸時代の半田のメインストリートを歩く
ゴールデンウィークに愛知・半田を散策してきました。「半田赤レンガ建物」で幻のビール「カブトビール」を堪能したあとは、半田の街を歩いていきます。半田赤レンガ建物から道を挟んで反対側にある「紺屋海道」から、半田の歴史を知ることのできる半田運河を目指します。
紺屋海道とは、江戸時代の半田の中心的な通りであったと記されています。船の帆を染めた染物屋があったことで「紺屋」の名が付いたと言われているそうです。「海道」という文字が当てられているのは、通り近くにある薬師寺というお寺に、お堂近くまで波が打ち寄せていていたことを示す絵馬が残っていて、昔はこのあたりまで海があったのかもしれない、ということのようです。
江戸時代、半田の運河から江戸へ酒や酢などが運搬されていたという歴史があるので、この通りを多くの人が行き交っていたのかもしれませんね。現在は半田市内の観光スポットを結ぶ通りとしてガイドブックなどに紹介されています。
観光スポットを結ぶ通りと言いながら、紺屋海道は住宅街の中を通る細い道。それでも、住宅街の所々には歴史を感じさせる建物が点在しています。こちらのお店は明治8年創業のおせんべい屋さん。今でも現役。のれんがかわいいですね。
紺屋海道を歩くと線路にぶつかります。この線路は大府市と武豊町を結ぶJR武豊線。住宅街を走る単線の線路。なかなか絵になります。半田に来る前にお義父さんから「武豊線は30分に1本しか電車が来ないから」と聞いていましたが、確かに電車の往来は少ないようですね。
紺屋海道の終点、もうすぐ運河にたどり着きます。歩きながら気になったお店「みにくいあひるの子」。昼は軽食、夜は居酒屋。「営業中」の札はかかっていたものの、中はのぞけず・・・気になる。
運河沿いに連なる蔵
紺屋海道の終点までやってきました。このあたりは酒蔵など、黒壁の蔵が立ち並ぶ運河沿いのエリア。歴史ある建物が並ぶ場所です。
一際大きな黒壁の蔵は「中埜酒造」國盛・酒の文化館です。江戸時代から約200年もの間、実際に酒蔵として使われていた蔵を、係員の説明を聞きながら見学することができます。見学は予約制ですが、空きがあれば当日受付も可能ということで、何組かのお客さんが蔵へと入っていきました。今回時間の都合でパスしてしまったのですが、ここは一度中に入ってみたい。
裏手に出ればそこは江戸時代に作られた半田運河。運河沿いは黒板囲いの建物が並んでいます。キッコウトミさんは100年以上続く醤油の製造会社。黒壁に白いロゴが映えて、つい写真を撮りたくなるカッコよさ。
運河に蔵、歴史ある街道と聞くと、どことなく栃木の街並みを思い出します。栃木も運河の街で、運河沿いには蔵が並んでいるんですよね。栃木は白壁、半田は黒壁。
運河に泳ぐこいのぼり
運河沿いは遊歩道として整備されていて、 歴史ある蔵と運河の作り出す美しい景観を楽しめるようになっています。それに加えて、ゴールデンウィークの時期にはこいのぼりがずらりと並び、観光客を楽しませてくれます!黒壁の蔵と運河、そしてこいのぼりの組み合わせはなかなか見られないですね。これはスゴイ。
こいのぼりも立派な大きさのものが数十匹と並んでいるので、これまた壮観。
こいのぼりが泳ぐ中記念撮影するご家族。これは思い出になるなぁ。
大きいこいのぼりに触れてしまうのもなかなかできない体験のような気がします。息子くんが大きくなったら連れてこようと思ったのでした。
半田市は「ミツカン」のお膝元
半田市はあの「ミツカン」の創業の地なんですね。半田の醸造家・中野又左衛門が酒粕で創る粕酢の醸造をはじめたのがミツカンの創業となっているそうです。江戸でも粕酢を使った寿司が流行したということですから、創業して200年以上続いているのですね。ちなみに「又左衛門」という名前は代々ミツカンの社長・中野家(現在は中埜)当主に受け継がれている名前で、7代目まで続いていましたが、現在の社長(8代目)は一度又左衛門の名を継いだ後、2014年に又左衛門の名を取っています。代々襲名とは、歌舞伎の世界のようですね。先の話でしょうが、9代目はどうなるんだろう。
創業者の中埜家はミツカンだけでなく、元は日本酒の醸造家だったり、カブトビールの醸造を行ったり(後に事業売却)、半田市の名士、中心的存在だったのですね。
ミツカン本社そばには、ミツカンの酢作りの歴史や食文化について展示されている「MIZKAN MUSEUM」があります。こちらも事前予約制で、ガイドさんに案内されながら館内の展示を見ていく形になっています。この日は全回予約で満席でした。
この日はゴールデンウィークにしては気温が高く、歩いていて汗もかきますし、喉も乾いてきました。ミツカンミュージアムの裏手の公園に、知多半島産の野菜や果物、軽食などを販売している「KURASU」さんでジュースを買って一休み。知多半島の甘夏ジュース!甘くて美味しい・・・!疲れた身体に染み渡りました。フレッシュなジュースを飲みながらのんびり運河を眺めて休憩。
カブトビールも飲んで、運河や蔵も十分堪能したということで、名古屋に戻ることにします。なかなか歴史を感じさせる路地や建物が多く並ぶ半田の街並み。カメラを持ってぶらぶら歩けば、面白いものに出会いそう。これは再訪しないといけないなぁ。
歴史あるJR「半田駅」から名古屋へ
行きは名鉄で半田(住吉町)にやってきたので、帰りもなんとなく名鉄で帰ろうかな、と思っていたのですが、知多半田駅に向かう途中にあるJR武豊線の半田駅の駅舎がステキで、帰りは半田駅から帰ることにしました。改札からホームにかかる跨線橋は1910年にできたもので、現存するもののなかでは日本最古のものと言われています。
ホームの風景もどこかノスタルジック。30分に一本の電車を待ちながら、写真を撮るのもまた楽しい時間。
2両編成の電車がやってきて、名古屋に帰ります。
名古屋から45分ほどでアクセスできる知多半島の街・半田。幻のビール・カブトビールを飲むことが最初の目的でしたが、蔵と運河、そして歴史ある街の雰囲気がとても良い街でした。家族で行っても楽しいし、カメラ片手に散策するのにも歩きがいのある街。またぜひ遊びに行きたいと思います。名古屋観光で、名古屋から足をのばしてみるのもおすすめですよ。
半日くらいで歩いて回れる半田の街。よい観光でした。