松山の街を走る「坊っちゃん列車」に乗る
愛媛・松山の街中を走る蒸気機関車「坊っちゃん列車」に乗ってきました。松山の街中は路面電車、通称・市電が走っていますが、その中にたまに見かける小さい蒸気機関車が坊ちゃん列車です。
息子くんが初めて見る蒸気機関車に興味津々だったのと、私もこれまで乗ったことがなかったので家族で乗ってみることにしました。
「坊っちゃん列車」に乗るには
坊っちゃん列車は一日に走る回数が決まっています。そのため、通常の市電のように自由に乗り降りできるわけではなく、事前にチケットカウンターで乗車券を購入する必要があります。
坊っちゃん列車の走るコース
坊っちゃん列車が走るのは2つのルートがあります。ひとつは、観光の中心地「道後温泉駅」と「松山市駅」を結ぶルート。そしてもうひとつは「道後温泉駅」と坊っちゃんでも登場した「古町駅」を結ぶルートです。道後温泉-松山市駅間の所要時間は20分、道後温泉-古町間は約30分となっています。
坊っちゃん列車の乗車券
坊ちゃん列車に乗るには、坊っちゃん列車の乗車駅または乗車時に車掌さんから坊ちゃん列車用の乗車券を購入する必要があり、大人1名800円、小児1名400円という金額設定になっています。
■坊っちゃん列車乗車券を購入できる場所
- 道後温泉駅:道後温泉駅 チケットカウンター
- 松山市駅:いよてつチケットセンター
- 大街道駅:伊予鉄トラベル 大街道営業所
- JR松山駅:JR松山駅 観光案内所
- ※古町駅にはチケットカウンターがないので、車掌さんから乗車券を購入
私たちは道後温泉駅から坊ちゃん列車に乗車する予定だったので、道後温泉駅に併設されたチケットカウンターで乗車券を購入しました。
坊っちゃん列車の乗車券は紙製の切符になっています。また、道後温泉駅では坊っちゃん列車の乗車整理券を配布しています。
また、道後温泉駅のチケットカウンターでは坊っちゃん列車グッズが販売されていて、思わず目に留まった「ご当地クラフトホリック」のRABを買ってしまいました!ぎゃーちょーかわいいー!
無事乗車券を購入できたら、乗車時間が来るのを待ちます。我が家は道後温泉駅併設のスターバックスでお茶をしながら待つことにしました。
「マッチ箱のような汽車」に乗り込む
いよいよ坊っちゃん列車の乗車時間が近づいてきたので、道後温泉駅のホームへと向かいます。夏目漱石の小説「坊っちゃん」の中で、松山の市内を走る蒸気機関車を『マッチ箱のような汽車』と表現しています。それが由来で「坊っちゃん列車」という名前がついているんですよね。
目の前に到着した坊っちゃん列車の客車は確かにコンパクトでマッチ箱のよう、と言った意味がわかるような気がします。
到着した坊っちゃん列車に、整理番号順に乗り込んでいよいよ出発です!
快適さは期待しないで
坊っちゃん列車の客車は明治時代を再現したような木造で、エアコンもありません。風通しは悪くないですが、夏は暑く、冬は寒いのです。また、座席も木なので座り心地もそれほどいいわけではありません。そして走行中は、あえてガタガタと揺れるようにしているそうです。そのため、乗り心地や快適さは期待しない方が良いです。
というのも、坊っちゃん列車は明治当時の雰囲気を忠実に再現しているので、最新の電車のような快適さはあまり考慮されていないようです。明治時代にタイムスリップした気持ちで、明治時代の空気を味わうための列車ということなんでしょうね。
とはいえ、乗り心地がさほどよくないとはいいつつも、大人も子どももウキウキしながら乗っていたので、あまり気にはならないかも・・・? 旅情をそそる、というやつですかね。
また、途中で車掌さんが写真を撮ってくれるサービスもありました。毎回ではないのかもしれませんが、旅行の1シーンを残してくれるなんていいサービスだなと感じました。我が家は私がカメラマンなので、家族3人という写真は案外多くないのですが、こういう時に撮ってもらえると嬉しいものです。
坊っちゃん列車に乗っている途中、同じ坊っちゃん列車とすれ違う姿が見られることもあります。 ちなみに、坊っちゃん列車はいわゆるSLタイプの列車で、煙突から煙が出ていることがあります。実はこれは蒸気を煙に見立てたものなんだとか。さすがに街中で石炭を燃やしてSLを走らすと公害になってしまう、ということで、現在はディーゼルエンジンで動いているそうです。煙の再現までこだわっているのはさすが。
気分は明治時代?
この日は甚平を着ていた息子くん。明治時代に甚平で坊ちゃん列車に乗っていた人がいるかはわかりませんが、明治時代にタイムスリップした雰囲気は味わえるかもしれませんね?
松山の街並みはほどよく都会で、歴史的な建物もあります。浴衣などの和装で街歩きするのが似合うので、旅の気分を盛り上げるために浴衣で坊っちゃん列車に乗るのもいいかもしれないな、なんて思ったり。
初めて見たSLタイプの形をした列車が坊ちゃん列車だったのですっかり気に入ったようで、東京に帰ってきたあとも「坊っちゃん列車乗るー!」と言っていました。息子くんにはいい経験になったかな。
セピア調に現像して、ちょっと明治時代っぽくなった・・・?
坊ちゃん列車のもう一つの見どころ「人力方向転換」!
さて、道後温泉駅を出発しておよそ20分で終点の松山市駅に到着しました。坊っちゃん列車の車窓から松山の街並みを楽しんで、坊っちゃん列車の旅もおしまい・・・実は、終点の駅に着いたあとに坊っちゃん列車のもう一つの見どころが見られるのです。
それは、人力での方向転換!
まずは客車を切り離して、機関車の部分だけを人力でぐいっと方向転換します。 機関車部分には足元にジャッキが付いていて、車体が浮いたところをくるっと回して方向転換できるようになっています。
こんな感じで、まずは機関車部分が方向転換しました。じゃあ客車の部分はというと・・・
乗務員さんが総出で押す!押す!押す!
乗務員さんが冗談交じりに「この(客車を押す)ときが一番しんどいんですわ・・・」なんて笑いながら押していましたが、確かにこれは大変そう・・・!
切り返しができるところまで押して、今度は機関車の方へと押して押して、ようやく連結完了。これで人力の方向転換は終了です。終点の駅ではどこでもやっていますが、松山市駅が一番見やすいというか、見応えがあるので、ぜひ一度見てみてほしいです!
旅情を感じる坊ちゃん列車
松山の街を走る「坊っちゃん列車」に乗ってみました。通常の市電の運賃なら160円のところ、5倍の金額の800円で20分間のタイムスリップ。単なる移動の手段としては割に合わないところですが、これは松山に旅行に来た気分を高めてくれる舞台装置なのだ!と思うとなかなか楽しめるものです。浴衣で乗ってもいいし、坊っちゃんの原作の世界に浸ってみるもよし。手軽に非日常が味わえるのがいいんですよね。
松山で明治時代の風を感じられる、タイムマシンのような坊っちゃん列車なのでした。