スタートは「新開地」から
年末に母方の祖父の家にお邪魔していたときに、神戸を散策してきました。今回の目的は神戸の地元私鉄「神戸電鉄」に乗ること。有馬温泉の最寄り駅が神戸鉄道の駅なので、ご存じの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
元々、母方の実家はこの神戸鉄道の沿線にあったので、帰省の度にこの神戸鉄道に乗っていました。ただ、母方の祖母が体調を崩してからは病院に通いやすいエリアに引っ越したため、それからは乗ることもなかったのですが今回ふと乗りたくなりまして。先に実家に戻っていた母親と神戸電鉄ツアーということで出かけてきた次第です。
まずは、祖父の家のある神戸駅から神戸電鉄の出発地点である「新開地」へと歩いていくことに。新開地といえばかつては「東の浅草、西の新開地」と呼ばれた神戸の歓楽街。今はその機能の多くは同じ神戸の三宮に移管されていて、今はちょっと寂しい歓楽街というイメージ。筋違いには福原という遊郭もあり、子供の頃は「新開地は大人の街だからいろいろ危ないよ」と親に言われていたことを思い出しました。確かに。
商店街から伸びる路地にもなかなか味わい深いお店が並びます。 子供の頃は新開地は電車の乗り換えでしか降りたことがなかったのですが、子供にはちょっと刺激の強すぎる街だったようです。
新開地のアーケードを抜けて大きな通りへ出ると、道を挟んで向かいにもまたアーケード。こちらは湊川商店街「みなとがわパークタウン」。母親曰く「中学や高校のときはここに買い物をしに来たり遊びに行くのが楽しみだった」とのこと。母親もいろいろ昔の記憶が蘇ってきているようでいつも以上に饒舌でした。
大通り沿いには生前父が好きで通っていたという洋食「赤ちゃん」ののれんを発見。中を覗くと結構な繁盛ぶり。お店の外も中もかなりディープ。レトロなんていうキレイな言葉では表せない感じですね・・・
ドアを開けて空き席を伺うカップルも満席で諦めて違うお店へと向かっていました。聞く話だと戦後間もないくらいのタイミングにはすでにお店があったとか。熱心なファンの多いお店なのでしょう。
電車に乗る前にかなり寄り道してしまいましたが、ここでようやく湊川駅から神戸電鉄に乗り込んで、今回の目的地の一つである「鵯越」駅へと向かいます。
鵯越駅は神戸電鉄の始発である新開地から4つ目の駅。標高にして130メートルほどの山の上にある駅です。源平合戦の一ノ谷の戦いにおいて源義経が切り立った崖を馬で駆け下りて平家に奇襲をかけた「鵯越の逆落とし」のあの場所ですね(諸説あるそうですが)。
鵯越の駅に降りたのは25年以上ぶり。まさに四半世紀ぶりに駅に降りました。ICカードの使える自動改札が導入されていることにちょっと驚きましたが、この駅はそもそも無人駅だったんですよね。踏切から見た駅の感じ、なんとなく覚えています。
さて、祖父の家のある場所へと向かっていきます。いきなりの階段&坂道で私も母も「あれ、こんなにしんどかったっけ?」と苦笑い。
鵯越駅から祖父の家に向かう途中、土管のような通路がありました。足元のゴツゴツした感じ、電灯のカバー、壁面にあるペンキ、どれも30年前の記憶の通り!懐かしいなー。中で声を発すると壁に反射して山彦のようになるのが楽しくて、子供の頃はわーとかきゃーとか言いながらこのトンネルを歩いていました。
20メートルほどの土管のような通路は直径1.6メートルほどで、私は終始腰をかがめて歩くことに。昔はジャンプしててっぺんに手が届くか、なんてやってたんですよね。
土管のような通路を出て住宅街へと入っていきます。おや、こんなところでネコさんと出会うとは。ご飯中のご様子。
ご近所の方に面倒を見てもらっているようです。 ここでネコさんに会うとは野良ネコ写真ブロガーとしては運命だったのかも(大げさ)。
坂道を登って下って、ようやく祖父の家の近くまでやってきました。結構急な坂道がいくつもあって、なかなか移動には難儀しますね。でも、その坂道の感じも懐かしい。結構思い出すものですね。夏休み、正月は帰省していとこと遊んだりしていたこの場所。なかなか感慨深いものがあります。
せっかくここまで来たので、隣の駅の「丸山」駅まで歩くことに。鵯越からは坂道を降っていくことになります。母親から当時の話を聞きながら歩いていると、鵯越に引っ越して来る前は丸山の方に住んでいたとか。知らなかった。。。
母親の(ちょっと怪しい)当時の記憶とgoogleマップを頼りに丸山駅へと向かいます。途中には昔懐かしい感じの個人商店が。そろそろお正月なので鏡餅が店頭に並んでいました。
私の記憶の中の神戸電鉄は「ウルトラマン」
ぷらぷらと歩いてようやく丸山駅へ。ちょうど新開地駅行きの電車が出発していくところでした。そしてこの電車がまさに私の記憶の中にある神戸電鉄!3000系というタイプの電車は昭和48年から走っている電車でシルバーにオレンジの塗装がされたその車体は「ウルトラマン」とあだ名されていたとか。思わずひとり喜びの声を上げてしまいました。
ここから海が見えるんですね。新長田とか須磨の方角かな?小さい頃はこんな景色見てなかったな。
丸山駅で新開地駅行きの電車を待ちます。途中急行電車が通過していきました。こちらはレトロな外観の1300系。1000系の類の電車は上の3000系と同時期に運行されていたようなので、多分何度か乗っているはず。でも記憶には3000系のウルトラマンばかり。
こちらは比較的新しい2000系という通勤列車用の車体のようです。これは見たことないかも。どこか東京の私鉄みたいなイメージの車体ですね。
新開地行きの電車がやってきました。私たちを新開地へ連れて行ってくれるのは記憶の中にいた「ウルトラマン」でした。嬉しい。
湊川で途中下車。「人工衛星饅頭」とは?
丸山駅から神戸電鉄に乗り込んで、新開地まで行く予定だったのですが、湊川でどうしても気になったものがあったので、買い物に行く予定だった母親と別れて湊川で途中下車。 気になるターゲットは「人工衛星饅頭」なるあの看板。
「大吉屋」さんというお店の商品名が人工衛星饅頭なんですね。赤いのれんに書かれた関西名物人工衛星饅頭の文字がインパクト大。ひとつ80円ということなので、買ってみることにしました。
ちなみに場所は神戸電鉄「湊川」駅、神戸市営地下鉄「湊川公園」駅西1出口を上ってすぐのところにあります。交差点の角なのでわかりやすいですね。
紙の袋に入れていただいたので、さっそくいただきます。見た目はどら焼き風。食べてみると薄皮の中につぶあんが入っています。
あんこがいい具合に甘くて美味しい。そしてしっとりとしてとろっとしたあんの食感が舌に乗って甘さを強調してくれます。これは元気になりますね。皮の端っこがほのかに香ばしくてさくさく。どら焼きというよりは薄皮の今川焼きと言ったほうが近いかな?(wikipediaには今川焼きのカテゴリーに人工衛星饅頭も括られていまいた)80円で買える美味しいスイーツ。安くて美味しくてネーミングのインパクトが抜群。誰かに教えたくなる人工衛星饅頭でした。
しかし母親も知っていたし叔父にも聞いたら知っていたので、神戸市民には有名だったのか。まだまだ知らないことが多いですね・・・!
ガイドブックに載らない記憶の中の神戸ツアー
今回は25年ぶりに神戸電鉄に乗って昔祖父が住んでいた家を見たり、いろいろな場所を歩いてみました。さほどメジャーな地域ではないので当然ガイドブックには載っていませんが、自分の記憶を辿って歩いてみると、当時の事が蘇ったり、新しい発見があったりと楽しい散策になりました。また神戸電鉄にも乗りたいし、人工衛星饅頭も食べたい。次に神戸電鉄に乗るときは有馬温泉にでも行くときかな?