大手5大ブランドの黒ビールを飲み比べる!
2019年11月6日、サッポロ生ビール黒ラベル〈黒〉が発売されました。文字通り、サッポロ黒ラベルのブランド名を冠した黒ビールです。黒ラベルの〈黒〉は2016年の販促キャンペーンの景品として登場して以来、2017年より年一度のペースで限定醸造されています。
黒ラベルの黒が出た、ということは大手ビールメーカーの看板ビールの黒ビールが出そろったということ。ここは飲み比べしなければなるまい・・・ということで、アサヒ・キリン・サッポロ・エビス・サントリーの大手5大ブランドの黒ビールを飲み比べしました!
今回の黒ビール飲み比べは、それぞれの黒ビールの「入手しやすさ」「濃さ」と風味のレビューをまとめています。風味については、冷蔵庫から出してグラスに注いだばかりの状態と、少し室温になじませて温度が上がったタイミングでの味をチェックしています。
一般的には「濃厚で芳醇な味わいで、苦味だけでなく甘みもある」風味とくくられる黒ビール。飲み比べてみると、同じ黒ビールといえどブランドによって風味の特長が大きく変わっているのがわかって面白かったです。
- 大手5大ブランドの黒ビールを飲み比べる!
- <そもそも黒ビールって?>
- 1.「ビアホール仕立ての黒」アサヒ ドライブラック
- 2.「おいしいところだけを搾った」キリン一番搾り〈黒生〉
- 3.「洗練された黒」サッポロ生ビール黒ラベル〈黒〉
- 4.「ゆっくり愉しむ、確かなコク」エビスプレミアムブラック
- 5.「まろやかで豊かなコク」ザ・プレミアム・モルツ<黒>
- 5大ブランドそれぞれの特長がよく出た黒ビール飲み比べでした
<そもそも黒ビールって?>
日本の黒ビールの定義は公正取引委員会によって定められた規約(ビールの表示に関する公正競争規約及び施行規則)によって定められています。
濃色の麦芽を原料の一部に用いた色の濃いビールでなければ、黒ビール又はブラックビールと表示してはならない(ビールの表示に関する公正競争規約及び施行規則より)
世界のビールスタイルには「シュバルツ」や「ポーター」など黒ビールを定義したスタイルがいくつかありますが、日本のビールはその条件に当てはまらないものが多いんですよね。例えば『日本の大手メーカーの黒ビールはシュバルツスタイル』だと言われることがありますが、スタイルの定義からいうとシュバルツを名乗るためにはアルコール度数の条件から外れているのです(シュバルツを名乗る条件の一つにアルコール度数が3.8%~4.9%である、という必要があります)。
日本の大手メーカーの黒ビールはアルコール5%~6%のものが多いので、厳密にいえばシュバルツではないということになります。
1.「ビアホール仕立ての黒」アサヒ ドライブラック
まず一本目はアサヒの黒ビール「アサヒスーパードライ ドライブラック」です。文字通りスーパードライブランドの黒ビールとなります。
◆アサヒスーパードライ ドライブラック
★入手しやすさ:★★★(通年販売)
★濃さ:★☆☆(かなりライト)
★風味レビュー:ほんのりとしたロースト香、かなりスッキリ。
ドライブラックは2012年にスーパードライ初の派生商品として登場した黒ビールで、黒ビールでありながら後味爽快なドライテイストを売りにしています。2016年のリニューアルの際には甘みを引き出すカラメル麦芽・コーヒーのような焦げ香を持つロースト麦芽の割合を配合を見直すことで、後味ドライでありながら黒ビールらしいコクを強化しているとのこと。
原材料は麦芽とホップに加えて米・コーン・スターチとスーパードライと同じ副原料。さらに麦芽エキスを追加して味を整えています。
かなりライトな黒ビールのドライブラック
ではさっそくドライブラックを飲んでみましょう。一口飲んでみると、鼻の奥にほんのりとロースト香を残しつつ、かなりすっきりとした飲み心地。黒ビールらしい濃厚さはあまり感じません。飲みやすいアイスコーヒーのようです。
温度が少し上がると少し酸味のような、甘みのような風味が出てきます。それでも一般的な黒ビールと比べるとかなりライトな飲み口です。
黒ビールの濃厚さを好む人からするとちょっとライトすぎるかな?という感じのドライブラックでした。まぁ、アサヒビールには本格的なスタウトスタイルの黒ビール「アサヒスタウト」がありますので、アサヒブランドで本格的な黒ビールを好む方はアサヒスタウトを飲んでみてはどうかというすみ分けがされているのでしょうね。
2.「おいしいところだけを搾った」キリン一番搾り〈黒生〉
続いてはキリンビールの看板ビール「キリン一番搾り」の黒ビール「一番搾り〈黒生
〉」 です。
◆キリン一番搾り〈黒生〉
★入手しやすさ:★★★(通年販売)
★濃さ:★★☆(程よく濃厚)
★風味レビュー:コクがあるけど後味スッキリ系。苦みの中にほんのり甘み。
もともとは「一番搾り スタウト」という形で上面発酵タイプの黒ビールを販売していたキリンビールですが、2017年の一番搾り大リニューアルにあわせた形で黒ビールも一番搾りブランドに統一。スタウトからダークラガータイプのビールとなっています。
原材料は一番搾りと同じく麦芽とホップのみ。通常の一番搾りの醸造と同じように「低温麦汁ろ過製法」を取り入れています。雑味や渋味をより減らして芳醇なうまみを引き立てつつ、一番搾りらしい飲みやすさを追求しているとのこと。
香ばしさの奥にほんのり甘い一番搾り〈黒生〉
グラスに注いだ一番搾り〈黒生〉は真っ黒というよりは黒に近いこげ茶という感じ。飲み口は香ばしさの奥にコーヒーのような酸味・苦みが混じるコクのある飲み口。それでも後味は案外スッキリで飲みやすい。
温度が上がると香りが立ってきます。 苦みの中にほんのりと甘みを感じるのは一番搾りだからかな。ほどよく濃厚、ほんのりと甘みを感じる風味は黒ビール初心者の方にも飲みやすい一本ではないでしょうか。
3.「洗練された黒」サッポロ生ビール黒ラベル〈黒〉
3本目はサッポロ黒ラベルの黒ビール「サッポロ生ビール黒ラベル〈黒〉」。 2016年に応募景品用として醸造されたのち、好評を博したということで2017年にいよいよ限定醸造ビールとして年に1度リリースされるようになりました。黒字に金のロゴがめっちゃカッコいい。
◆サッポロ生ビール黒ラベル〈黒〉
★入手しやすさ:★☆☆(年に一度の限定醸造)
★濃さ:★★☆(苦すぎず、甘すぎず、重すぎず。)
★風味レビュー:程よい香ばしさに程よいコク。重過ぎなくて飲みやすい。
黒ラベル〈黒〉は通常の黒ラベルでも使用している「旨さ長持ち麦芽」を焙燥した黒麦芽を一部使用しています。風味も黒ラベルのような爽やかな後味を実現した黒ビールという位置づけになっています。
原材料は黒ラベルと同じく麦芽とホップに加えて米・コーン・スターチという副原料を投入しています。100mlあたりのカロリーが42kcalと5大ブランドの黒ビールの中で最も低いのが意外ですね。かなりライトな飲み口のドライブラックよりカロリー低いとは。
程よい香ばしさと味のバランスが絶妙な黒ラベル〈黒〉
黒ラベル〈黒〉は飲んでみると程よいロースト香が鼻から抜けていきます。飲み口も甘すぎず、苦すぎず、酸味もなく、ちょうどいい感じ。重さも控えめでのどを通った後はすっきり。全体的にバランスが良いですね。なんというか、すっきり飲みやすいアイスコーヒーみたいな感じ。
温度が上がってくると焙煎した麦芽の香ばしさがより広がっていきます。風味も丸みを帯びてきて黒ビールらしい芳醇な味わいの中にほんのりとした甘みを感じます。これは飲みやすいな。
黒ラベルの〈黒〉、洗練された黒ビールです。
4.「ゆっくり愉しむ、確かなコク」エビスプレミアムブラック
4本目はヱビスビールの黒、「ヱビス プレミアムブラック」です。 ヱビスにはプレミアムブラックのほか「ヱビススタウト クリーミートップ」というスタウトスタイルの黒ビールがありますが、ヱビススタウトは飲食店限定の樽生のみ製造されているため、自宅で飲めるのはヱビス プレミアムブラックのみとなっています。
◆ヱビス プレミアムブラック〈黒〉
★入手しやすさ:★★★(通年販売)
★濃さ:★★★(エビスらしい濃厚さ)
★風味レビュー:ロースト香と苦みの奥に甘みと酸味のあるコーヒーのような味わい
ヱビスプレミアムブラックは通常のヱビスビールと同じく麦芽とホップのみで醸造されています。ビールの発酵に使われる酵母もヱビスと同じヱビス酵母で、まさに「ヱビスの遺伝子を引き継いだ黒ビール」です。
ふくよかな風味とまろやかな舌触り
ヱビスプレミアムブラックは見た目から濃厚なブラック。飲んでみると焙煎した麦芽のロースト香が口いっぱいにひろがります。舌触りもどことなくなめらかです。ヱビスらしいコクのある味わいで香ばしさと苦味の中にほんのりとした甘みとコーヒーのような酸味を口に残します。
温度が上がるとより甘みが目立つ感じですね。芳醇だけど、しつこくない。上品なコク深さが味わえるヱビスプレミアムブラックでした。
5.「まろやかで豊かなコク」ザ・プレミアム・モルツ<黒>
ラスト、5本目はサントリー ザ・プレミアム・モルツ<黒>です。通年販売ではありませんが、クリスマスや秋冬のシーズンに登場する、プレモルの準レギュラー枠といった存在ですね。
◆サントリー ザ・プレミアム・モルツ ザ・ブラック
★入手しやすさ:★★☆(通年ではないが年数回発売される準レギュラー枠)
★濃さ:★★★(一番コクがあるかも)
★風味レビュー:冷えた状態でも感じるロースト香。甘みが強めでコクがある。
原材料は麦芽とホップのみ。栄養成分表示を見ると100mlあたりのカロリーが52kcalと5大ブランドの黒ビールの中で最も高い数値を示しています。カロリーが高いビールはコクがあって芳醇な風味であるといわれています。これは楽しみ。
コク深さが際立つプレミアムモルツ<黒>
見た目は限りなく黒に近い焦げ茶。一口飲むと焙煎した麦芽のロースト香がかなり強めに感じます。冷えた状態でも芳醇なロースト香があって、焦げた苦味が口に広がります。苦味の奥には甘みがあって、喉を通ったあとの後味もしっかり残りますね。これは濃厚。
温度が高くなると甘みがより前に出てきて芳醇さを感じます。苦味・甘みにコーヒーのような酸味をほんのり感じて、かなり飲みごたえのある黒ビール。コク深さという点では今回飲み比べした中で一番コクがあるかも。
濃い目のビールが好きな方にはよく合いそうな「ザ・プレミアム・モルツ<黒>」。秋冬やバレンタインに発売されるので、ぜひぜひお店で見かけたら手に取ってみてはいかがでしょうか。
5大ブランドそれぞれの特長がよく出た黒ビール飲み比べでした
黒ラベル〈黒〉の発売にあわせて大手ビールメーカー5大ブランドの黒ビールを飲み比べてみました。同じ黒ビールですが、ブランドそれぞれの特長やスタイルがよく出ていて、味の違いを楽しみながら飲むことができました。
黒ビールの良さは味の濃さだけではありませんが、味の濃さ(淡→濃)で順番に並べるとこんな感じでしょうか。
ドライブラック(アサヒ)<黒ラベル黒(サッポロ)<一番搾り黒(キリン)<エビスプレミアムブラック(ヱビス)<プレモル黒(サントリー)
たまには自宅で黒ビールをゆっくり飲んでみる、なんていうのも楽しい飲み方の一つ。ご興味があればぜひ黒ビールを楽しんでみてくださいね!
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